ビットコインアドレスの種類には、「bc1」や「1」「3」「m」「n」「bc1p」があり、それぞれが頭文字となって構成されています。
アップデートによって、Native SegWitやLegacy、SegWit、Taproot形式のアドレスが実装されてきました。
このアドレスに送金するには、送金元である暗号資産取引所が、このフォーマットに対応していなければなりません。
間違った宛先や対応していないウォレットへ送金してしまうと、ビットコインをすべて失ってしまうことになります。
特に、Ledger(レジャー)やTrezor(トレザー)のようなハードウェアウォレットは、デフォルトでNative Segwitが選択されているので、送金や入金の際には、注意が必要です。
今回の記事では、ビットコインアドレスのNative SegWit、Legacy、SegWit、Taprootとはどのようなものなんか、各アドレスに対応している取引所一覧を紹介します。
ビットコインアドレスとは?
ビットコインアドレスは、仮想通貨ビットコイン(BTC)を管理するためのアドレスです。
誰でも簡単に作成することができ、ビットコインの保管、送金、預入ができるようになります。
アドレスは、「bc1」や「1」「3」「m」「n」「bc1p」から始まる26~35文字で成り立っています。これは、銀行で言う口座番号と同様の役割を果たします。円やドルのお金を送金するのと同様に、アドレスにビットコインを送信することができます。その際に、公開鍵というものを含めてトランザクションに署名することで処理が行われます。
ビットコインのアドレスを管理する上で、公開鍵の他に「秘密鍵」というのものがあります。これは、アカウントなどにアクセスするためのパスワード(暗証番号)と同じような役目です。秘密鍵がないと、ビットコインをアドレスから取り出せなくなってしまいます。また、他人に知られてしまうと、その資産を抜き取られてしまうので、秘密鍵は、厳重に管理しなければなりません。
過去に、ビットコインは、IPアドレスに送金することができました。非常に簡易的で便利だった反面、誤送金を狙った中間者がいたことでIPトランザクションは、得策ではないとされ、ビットコインアドレスが誕生しました。
ビットコインは、イーサリアム(ETH)やリップル(XRP)、ステラルーメン(XLM)のアドレスとは異なり、セキュリティ上、一つのアドレスに送金すると、新たなアドレスが生成されます。そして、以前のアドレスは、使えなくなります。このシステムは、セキュリティ、およびハッキング対策、個人資産や個人情報保護のためにこうした仕様となっています。
次に、ビットコインアドレスの種類について、さらに深掘りしていきましょう。
「bc1」から始まるビットコインアドレス【Native SegWit】
「bc1」が頭に付いているビットコインアドレスは「Native SegWit(ネイティブ・セグウィット)別名: bech32」と呼ばれます。SegWitの登場後に、アップデートで誕生しました。
アドレスの構成は、例として以下のようになります。
bc1qxt0e8rw5p4fyt6ynnrct8r2vpr926mawcnw6pd
SegWitやLegacyでは、英語の大文字が混ざる形式でした。Netive SegWitのビットコインアドレスは、英数字と小文字だけで構成されていることで、可読性が向上し、エラー検出もしやすくなりました。
Netive SegWitは、SegWitと比較すると、効率が良く、トランザクション速度が速くなりました。ネットワークの拡張性がアップしたことで、さらに手数料の削減に成功しました。
ビットコインネットワークの人気からオンチェーンでの転送で手数料が高騰してしまい、処理にも膨大な時間を要することが課題となっていました。それが、このアップデートで解消されました。
LegacyとNative SegWitとの手数料を比較すると、35%〜50%ほどまで節約ができます。
ただ、Native SegWitに未だ対応していないプラットフォームがあります。一部では、入金はできるけど、送金はできない、または、その逆といったこともあるので注意が必要です。
日本の取引所でもそうしたケースがあるので、ビットコインの入出金を行う際には、前もって確認しておくことが重要となります。
資産を入出金する際は、必ず少額から試すことが必須となっています。
「1」から始まるビットコインアドレス【Legacy】
「1」が頭に付いているビットコインアドレスは「Legacy(レガシー)」と呼ばれます。
アドレスの構成は、例として以下のようになります。
1Dc3UjcRst7kRxCrmcyVVNSpN6wdHrzD1a
Legacyは、ビットコインアドレスで最も古い形式です。
当初から使われていることから、各種仮想通貨取引所やホットウォレット、コールドウォレットともにサポートされている場所が多いです。
しかしながら、Legacyアドレスのビットコインを他のアドレス宛へ送金するのには、非常に高い手数料がかかってしまいます。
高額な費用が発生することによって、現在はLegacy形式のアドレスは、あまり使用されておりません。
「3」から始まるビットコインアドレス【SegWit】
「3」が頭に付いているビットコインアドレスは「SegWit(セグウィット)」と呼ばれます。
アドレスの構成は、例として以下のようになります。
3J4Sxdw7EkeGSx1ujmxjFCt9w2MZHKhtJG
SegWit(Segregated Witness)は、2017年にソフトフォークから導入されました。これによって、BTCトランザクションデータのサイズが削減され、軽量化されたことで高速になりました。
トランザクション手数料も安くなったことで、レイヤー2の将来性が明るくなりました。そして、ライトニングネットワークが登場したのです。
ライトニングネットワークは、様々なことに取り入れられ、少額な決済手段として導入を開始した企業もありました。
また、ネットワーク上で、確認もしくは、検証前に、誰かがトランザクションID(TX ID)を変更や攻撃をするといったトランザクション展性を防止するとされています。もし、トランザクションIDが少しでも変更されてしまうと、ハッシュに影響してしまい確認ができなくなってしまいます。
ビットコインは、さまざまなことに対応するために、定期的にアップグレードが行われています。
「bc1p」から始まるビットコインアドレス【Taproot】
「bc1p」が頭に付いているビットコインアドレスは「Taproot(タップルート)」と呼ばれます。
アドレスの構成は、例として以下のようになります。
bc1p4h8h4j2jlnfx4xngd9hez64p5g5fvjh24lkn8fazyy25wvxkr9kqe974ld
Taprootは、2021年のアップグレードとして誕生して、上記のようなアドレスが生成されました。
TaprootもNative SegWit同様に、ビットコインネットワークのスケーラビリティ問題を解消するために実装されたアップグレードです。手数料が安く、短時間でトランザクション処理が行えるように設計されています。
ビットコインは、金のような資産として保有することが価値として見出されてきました。しかし、近年イーサリアムチェーンを活用した、ユニスワップ(Uniswap)のような分散型金融(DeFi)や分散型アプリケーション(DApps)が話題になっていることから、ビットコインブロックチェーン上でもこうしたユースケースの実装に関することがつぶやかれていました。しかし、プライバシーの理由からすぐに導入されることはありませんでした。
そして、Taprootの登場によってさまざまなことが実現可能となったのです。
Native SegWitと違う部分として、Tarprootでは、複数の署名が1つに集約ができます。これにより、1つの署名と複数署名がまとまることで、トランザクションの区別が困難になるので、プライバシーが強化されたことになります。また、リソースが簡易的で、複雑なスマートコントラクトも兼ね備えています。
Taprootに対応しているウォレットして、Ledger、Trezor、Ordinals Wallet、Bitcoin Core、Zeusのようなものがあげられます。
また、Taprootに対応しているウォレットに送金できる日本国内の取引所は、このブログ投稿時点で「GMOコイン」のみとなっています。それ以外の取引所からTaprootのビットコインアドレス(頭文字がbc1p)宛へ送金すると資産を失ってしまうので、注意が必要です。
「m」や「n」から始まるビットコインアドレス【テストネット】
「m」「n」が頭に付いているビットコインアドレスは「Testnet(テストネット)」で利用されます。
こちらは、ビットコインの開発に利用されるアドレスです。そのため、ビットコイン本来の価値を一切持たないものとなります。
テストネットアドレスの長さは26 ~ 34文字です。多くのアドレスの長さは33文字または、34文字で生成されています。
「m」や「n」から始まる頭文字のアドレスに送金してしまうと、資産を取り戻せなくなるので、注意してください。
暗号資産取引所|Native SegWit、Legacy、SegWit、Taproot入出金対応表
この表は、取引所からウォレット等への入出金対応表となっています。
取引所間の送金は「トラベルルール」で互換性のある取引所同士の入出金のみ可能です。
「bc1」 から入金 (Native SegWit) | 「bc1」 に出金 (Native SegWit) | 「1」 に入出金 (Legacy) | 「3」 に入出金 (SegWit) | 「bc1p」 に入出金 (Taproot) | |
コインチェック | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ✕ |
GMOコイン | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
SBI VCトレード | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ✕ |
ビットバンク | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ✕ |
ビットポイント | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ✕ |
ビットフライヤー | ◯ | ✕ | ◯ | ◯ | ✕ |
DMM Bitcoin | ◯ | ✕ | ◯ | ◯ | ✕ |
上記の表は、ハードウェアウォレットやアプリウォレットなどに入出金するときに活用ができます。
LegacyやSegWitは、幅広く対応していることが分かります。
Native SegWit形式のビットコインアドレスには、出金で非対応の取引所があることに注意してください。
一点注意が必要なのは「bc1(Native SegWit)」と「bc1p(Taproot)」のアドレスが混同しないようにしなければいけません。
最新の形式であるTaproot(頭文字が「bc1p」から始まるアドレス)への入出金は、GMOコインのみが対応しています。Taprootアドレスの送金先として最近話題なのが、BRC20トークンやNFTを管理できる「Ordinals Wallet(ウォレット)」があげられます。
取引所間の送金に関しては、2022年4月1日に導入された「トラベルルール」に遵守して資産の移動が可能です。これに関しては、この下で解説します。
日本の取引所では、数多くの取引所が最新のアップグレード版のNative SegWit、そのほかにはLegacyやSegWitに対応しています。
ただし、Native SegWitに関して、ビットフライヤー(bitflyer)やDMMビットコイン(DMM Bitcoin)では、入金はできるけど、出金ができないという点は、頭に入れておいてください。
トラベルルールに注意「対応していても送金不可」
日本国内の仮想通貨取引所では、2022年4月1日にトラベルルールというものが制定と導入がされ始めました。
これは、すべての暗号資産の移動に対応する暗号資産交換業は、出金先と受取人側の暗号資産交換業者へ情報を通知しなければならないというルールです。
出金依頼人と受取人に関する一定の事項を、出金先となる受取人側の暗号資産交換業者に通知しなければならない」というルールです。
このルールは、FATF(金融活動作業部会)が「マネーロンダリング」及び「テロ資金供与」対策についての国際基準(FATF基準)で、各国の規制当局に対して導入を求めているものです。
これにより暗号資産取引所等を利用するすべての個人、法人が資産移転の目的などを取引所へ提出する対象となります。
トラベルルール対応には、以下の2種類があります。
・Sygna Hub(Sygna)
上記のどちらかに対応しているかは、取引所によって異なります。
この双方には、互換性がないため「TRUST」から「Sygna」への資産の送金はできないことになります。
つまり、「TRUST」同士、もしくは「Sygna」同士の資産の入出金で対応が可能です。
例えば、日本国内取引所のコインチェック(Coincheck)とbitFlyer(ビットフライヤー)がTRUSTに対応しています。この間での資産の入出金は、できるということになります。
海外の取引所への送金も同様に、対応が異なるので送金前には、各取引所のホームページを確認しておきましょう。
もし、互換性のない取引所に送金したい場合には、プライベートウォレットである、LedgerやTrezorなどのハードウェアウォレットやメタマスク(MetaMask)などに一度送金してから別の取引所への移動ですと現時点では、問題なく資産の入出金が可能です。
トラベルルールのさらなる詳細に関しましては、各取引所にてお調べください。
入出金アドレスの形式が同じでも送金できないことがある
上の表にもあるように、自分のアカウントでの預入アドレス形式と送金先のアドレス形式が一致しているからといって必ず送金できるわけではないので、今一度確認しておきましょう。
先程にも記載いたしましたが、これを伝える理由は、トラベルルールが影響しています。
トラベルルールに対応した、「TRUST」同士、もしくは「Sygna」同士でないと送金できないことを忘れないようにしてください。
変更や例外があるかもしれないので、入手金前には、必ず各取引所のホームページをご確認ください。
取引所からハードウェアウォレットへの入出金も要注意
暗号資産取引所からハードウェアウォレットへの入出金も注意しなければいけません。
Trezor(トレザー)やLedger(レジャー)では、ビットコインウォレットの最新バージョンでは、Native SegWitがデフォルトとして設定されています。
日本や海外の取引所では、Native SegWitに対応していないことがあります。そうした暗号資産取引所からウォレットのアドレスへビットコインを送金した際に、入金されないといった問題が発生するかもしれません。
ただ、上の表で記載しているように、ほとんどの取引所でNative SegWit(bc1)から始まるアドレスへの出金に対応してるので、日本の取引所は、比較的利便性が高いと言えます。
最近では、ビットコインの送金手数料が無料というプラットフォームも多くなっているので、資産移動も費用を気にせず安心して行えるでしょう。
まとめ
最後に、ビットコインアドレスについて、もう一度おさらいしておきましょう。
ビットコインアドレスには、「bc1」や「1」「3」「bc1p」「m」および「n」から始まるようなアドレスの種類があります。
これらは、以下のようなそれぞれの形式に対応しています。
・「bc1」から始まる:Native SegWit
・「1」から始まる:Legacy
・「3」から始まる:SegWit
・「bc1p」から始まる:Taproot
・「m」や「n」から始まる:テストネット
上記の形式に対応したアドレスには、それぞれ特徴がありますが、一番重要なのは、取引所によって一部のアドレス宛に入出金できないことがあるという点です。
未対応のウォレットに送金、入金してしまうと、資産が取り戻せなくなってしまうことに注意してください。
また、取引所間の入出金では、トラベルルールがあります。これは「TRUST」同士と「Sygna」同士でないと入出金ができないことにも覚えておく必要があります。
以上の内容は、変更やアップデートが行われえることがあるので、資産の移動前には、前もって確認してください。
そして、暗号資産を移動する際には、必ず少額から送金を試して、送付先にしっかり着金するかを確認してから大きな資産を移動するようにしてください。